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 6月になりました。梅雨の季節、紫陽花の花が濡れる時期です。
 ふと思い出したコイルの話があり、書きました。

 コイル20話「カンナとヤサコ」で、カンナとハラケンの過去の因縁に、一応の区切りができた回であり、ヤサコがハラケンへの気持ちを打ち明けた、ハラヤサ好きにとって心に残る話でした。
 カンナらしきヌルと二人が対面する場面で、どうしてかヤサコにだけ彼女の声が聞こえ、ヤサコを通してハラケンへ、カンナの思いを伝える事ができました。
 この場面を見て、「あっ」と思い出しました。とても似ている場面が、日本神話にあったのです。

 『日本書紀』のある一書の中で、黄泉に逝ったイザナミを連れ戻そうとイザナギが行きますが、そこでの彼女との約束を破ってしまったため、逆に追われてしまい、現世に戻ります。ここまでは『古事記』と同じですが、現世との出入り口の場面で違います。
 黄泉比良坂でイザナギはイザナミと口論になるが、そこに黄泉守道者(よもつもりびと)と共に菊理媛神(くくりひめのかみ)(以降、ククリ姫)が現れます。ククリ姫はイザナミの言葉をイザナギに伝え、彼を納得、あるいは安心させ、その伝言をイザナギは褒めたという。そして、イザナギは無事現世に帰ったという。
 この時の言葉がどんなものかは書かれておらず、ククリ姫もここだけしか登場せず、出自も不明。今では、ククリ姫は縁結び・巫女の女神とも言われ、白山神社の祭神とされています。

 異界のカンナに会いに行こうとするハラケンは、イザナギとイザナミの二人を連想させられましたが、あの場面で、ヤサコがククリ姫として二人の心をつなげたように思え、コイルのすごさを大きく感じたと思いました。
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