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第五章 停止!大黒市
ヒウゥ~~ン……ドーンッ、バラバラバラバラ……、ヒュ――ン……ドドーン、ババーン、ドヒュ~ン、ドドドドッドーン、ヒャウ~~ン、シャ~ン、ジャッジャーン
ヤサコ・ハラケン・イサコが川原に移動したのは、フミエ達と合流してから二十分後。いくつもの花火が打ち上がっており、観客は花火が夜空に咲く度に、歓声が響いた。
様々な形、色とりどりの大輪は、キラキラと散ったが、野槌神社に居合わせた三人は、顔に光が当たっても、どこか暗い部分が映っていた。
終わった後に、みんなと帰りがけの公園でラムネを片手に、祭りでの事件を確かめる事となった。
まず、暗号屋Zがヤエを狙って、京子の前に現れたが、謎のサングラスにスーツの三人組が襲い、Zはその場でメガネを壊された。三人組がヤエを追っていて、イサコが暗号技をしかけたが、消された。
その後、野槌神社でヤサコとハラケンが逃げるヤエを助けると、三人組が現れたが、なぜかキヨコも現れ、彼らが同じ持ってるはずの無い「ブラザー・リング」をしていた。そして、キヨコもヤエを欲しがっていた。
「ブラザー・リング……まさか、完成していたなんて」
女性陣はベンチに腰掛け、男子達はブランコの柵に腰を落ち着かせていた。オバちゃんは、リングの事からこの一件を、恐ろしいほどの深さではと実感していた。
「リングをしていたって事は、彼らは警官か自衛官って事になるのかな?」
「でもよ、スーツ達はあの女を知らなかったんだろ?何で敵同志が、おんなじの持ってんだ?別々に持つ敵同志かもしれねえ」
タケルの意見も、ダイチの考えも正しかった。しかし、今の状況だけでは彼らの正体を知るには足りなかった。
「そうだ、あの変な暗号屋はどうなった?」
ガチャギリがアイコとフミエに確認した。
「ダメ、逃げられたわ。スーツ達が森に消えた後、あそこが役員や警官が来たんで大騒ぎになって、そのドサクサに紛れちゃった」
「手掛かりは乏しいですねえ」
「うっさいわよ!」
アキラの一言がフミエの癇に障ったらしく、平手打ちをされ、いきなりの事にアキラは涙を流すはめになった。
「残るは、ヤエん中の何かのデータ」
ダイチが見る先では、京子の膝の上でヤエがスヤスヤと寝ているようだった。
「でも、それには防壁が……」
デンパの一言で、暗雲がぶり返してしまい、みんな頭をウ~ンと悩ませた。
「あっ、そう言えば!」アイコがいきなり声を上げ、みんな驚いた。「アイツ、あの変な暗号屋が言ってたわ」
「何を言ってたんだ?」
イサコがニューっと顔を覗かせた。
「あん時、ヤエを手にした時アイツ、『えむしきん』って大声でしゃべってた。それ、手がかりになるかも」
「え・む・し・き・ん?何すかそれ?」
ナメッチだけでなく、みんな揃ってその単語が意味不明だった。
「M資金!」
ただ一人、ハラケンだけが驚愕した顔を見せ、パチパチとウィンドウを開き、何かを検索し出した。
「研ちゃん、何か知ってるの?」
「うん、これだ」
オバちゃんの言葉にハラケンは、みんなに何かの記事のウィンドウを見せる事で答えた。
「『M資金』。敗戦時、旧日本軍の資産をGHQが接収して、それをどこかに隠した財宝のコードネームだ」
「「財宝!」」
「財宝」の一言でギラッと、ダイチとフミエは一瞬で目を輝かせた。
「戦後は度々、詐欺事件として世間を騒がせる、都市伝説となったんだ」
「じゃあ、ヤエの持ってるデータって、そのM資金の在り処の地図なのかしら?」
ヤサコの言葉のせいか、ダイチとフミエはよだれが出るかと思うほど、寝ているヤエに眼を寄せ出した。
「言っとくけどダイチ、今ヤエのデータを解析してるのはメガばあ。つまりこの一件は全て、我が『コイル電脳探偵局』よ。あんたら黒客は入って来ないでよ!」
「フンっ!あい変わらず、がめついなあ。お・ま・え・は!」
そんなにらみ合う状況にはヤサコも呆れ、言葉をかけるのもやめていた。
「とにかく、もう今夜は帰った方がいい。彼らの正体も、ヤエの秘密も、明日になればそのキヨコさんがやって来て、教えてくれる。それに、あのスーツ達がまた襲ってくるとも限らない」
タケルは立ち上がって、みんなに今後の予定を提案した。
「タケルの言う通りだ」表情を変えないイサコも賛同した。「今ここで我々が、憶測を言い合っていても、明日になれば自ずと答えがあちらからやって来るのだから、時間の無駄だ。まあ、なぜ彼女がヤサコの家を知っているかはわからんし、何かの罠か作戦かもしれないが、待ってみるのもおもしろい」
ニヤッと、今後の展開を楽しんでるかのような笑い、みんなを驚かせた。
「……そうね、じゃあまた明日。気が向いたら、家に来てね」
ヤサコによって、会議はお開きとなり、みんなは各々解散して帰路に着いた。ヤサコも疲れきった京子をおんぶし、肩にヤエを乗せながら帰る事にした。
「おい、ヤサコ」イサコが後ろから声をかけてきた。「途中まで、送って行ってやる。京子も私が背負う」
「え?いいわよ、大丈夫だから。いつもの事だから平気よ」
「今夜は、〝いつも〟じゃない。敵がいつ現れても、おかしくない現状なんだ。お前らだけでは危険だ」
「……ありがとう」
真剣な目つきで心配してくれたイサコに、ヤサコは驚きながら、そーっと京子をイサコの背に移した。
そんな様子をハラケンはなぜかボーっと眺め、自分も一緒にいてあげたいという衝動に駆られたようだった。しかし、その空気へ言葉をかけるチャンスを失ったらしく、公園の入り口に向かい出したヤサコ達の後ろ姿を追って見るしかなかった。
さらに、ハラケンの後ろからはオバちゃんの声が、バイクで帰る事を促していた。
ヤサコ達は街灯がいくつも照らす夜道に出た。歩み下駄の音が塀にぶつかり、木霊していた。
「……イサコ」
「何だ?」
「……今夜は、ごめんね、迷惑かけちゃって。それに、京子の為に色々してくれて、ありがとう」
「…………改まって、言うな……まぁ、あんな強敵まで出てきたのは予想以上だった。何より、みんな無事で何よりだ」
小さく微笑みながら頷いたヤサコは、安心感と新たな焦りが沸いていた。
「……ねえ、イサコ……あした……何時頃、帰るの?」
「うん?」チラッとイサコは、横目で確認した。「う~ん……午前中に大黒駅から出発するつもりだ。だいたい、早くて八時半頃だな」
「そう……その時――」
「送りはいい!」
予想できる会話にはなった。
「……でも行く!」
「…………勝手にしろ」
イサコの困った顔に向かってヤサコは、フフッと嘲笑うような口を見せ、ほんの少しスキップしながら自宅の明かりを視界に入れていた。
ただ、やはり、焦燥感というわだかまりは消えておらず、花火のせいなのか、どこかからか、夜雲が風任せにやって来ていた。気がつけば出ていた半月も、光と共に雲の向こうへ隠れてしまった。
○
「ゴヒトハチマル、ヨンヒトハチマル、『グラウンド・ゼロ』決行セヨ」
○
気がつけば、自分のベッドから見上げる天井。憂うつな気持ちが、まだヤサコの中で残り、肉体的にダルイ感覚を起こしていた。もちろん、「肉体的」にそんな感覚は発生していなかったが、ヤサコの感情の奥からそれは顔を覗かせていた。
やっとこさ降りると、またしても下の段では、京子が枕元にヤエを寝かせており、どっちも安らいだ穏やかな寝顔をしていた。もっとも、ヤエの方は顔というものがわかり難く、ヤサコには何となくという具合で、そう見ていた。
(大丈夫……だよね)
何にその答えをしたの自身でもかわからなかったが、そう何に語りかけたかった。
フラフラとそのまま部屋を出、廊下を歩き、リビングと台所の間に来ていた。
「……お、母さん……?」
左右に眼をやったが、誰の気配も無いのに、声だけがいた。
『……今年は例年通りの暑さですが、来年は冷夏の恐れがあります。地球温暖化に伴う異常気象、北半球の寒冷化は年を追うごとに増し、氷河期が現実味を……』
テレビの気象予報士が、画面の向こうで喋っているだけだった。
ジャーッというトイレの水を流す音ともに、母が後ろから現れた。
「あら、優ちゃん。おはよう」
「……おはよう」
「どうしたの?顔色悪いわよ。それに、夏休みなのに早起きね。今、六時よ」
ボーっとした感じで、ヤサコは受け答えしながら席につき、テーブル上の籠に載ったクロワッサンに手を伸ばした。
「はい、お皿!」
すかさず母はヤサコの前に、平たい皿を出した。母の口は不機嫌そうだったが、心配気でもあった。
「大丈夫なの?元気無いわよ」
「大丈夫よ!ちょっと、考え事してるだけ……」
ボンヤリと、パンをハグハグ食べながら、下を向いてしまった。
「そう言えば、お父さんは?」
パッと顔を戻した。
「ああ、まだ寝てるけど、今日はお父さん、早いうちに市役所に出勤らしいわよ」
「そう……」
そうこうしていると、
「おはよう」
「あ、お父さん、おはよう」
「ああ、おはよう、優子」
半袖パジャマのまま父は席につき、新聞を手に取った。
「優子、珍しいな、こんな時間に」
「うん、今日――」
「友達が金沢に帰るんだろ?」
父に当てられた瞬間のヤサコの眼は、今日初めての大きな眼だった。
「別れをいちいち惜しんでいても、しょうがないぞ。人生、限りなく起こる事なんだ。そういう時は、現実を受け止め、それ相応の答えを示すモノだ」
「〝答え〟って?」
ヤサコの関心は大きくなっているのは、両親でなくともわかり易かった。
「時と場合によって違うが、この状況だと、お節介でもいいから、送りに行く事。それに、今生の別れとは限らないだろ?また会うのを信じる事だけだ」
ヤサコにとっては、父の話は一部分だけでも、説得力があった。
「うん!今日、出かけるね!」
ようやくの元気な顔に、両親ともに安心できていた。
○
数時間後。
あるマンション地下駐車場で、自動車に乗り込むイサコとその叔父叔母の姿があった。
「車なら五分で駅に着くが、そうなると八時三十分の列車に乗る事になる。いいのか?」
「うん、いいわよ」
気を落ち着かせた感じでイサコは、後部座席に座り込み、前にはすでに二人が乗っていた。
「そう言えば、勇子」助手席から叔母が、顔を覗いてきた。「あなた、来る時のかっこうなのね?何だか来る時より、荷物が大きいわね」
腕組みするイサコは、大黒駅に着いた時と同じ、デニムの上下。やはり〝いつも通り勇子の姿〟、という雰囲気をかもし出し、ムスッとした顔をしていた。
「うん?ああ……その、ホントは内緒で、持って帰ろうと思ってたんだけど……叔母さんが用意してくれた服、気に入ったの、入れた」
「…………っ!」
イサコの意外な返答に、眼をまん丸に驚き、パッと前に顔を戻した。イサコも言った後になって顔を赤くして、眼を下に伏せてしまった。
「…………じゃあ、行こうか?」
二人の複雑な心情を知ってか知らずか叔父は、車を出口に向け発進させた。
道路に車が出ると、叔父は運転を完全な手動から、半ば自動運転に近い電脳ナビに切り替え、それに従って駅に方向を定めた。
車窓から眺める雲は午前の空に広がり、大半を占めていた。雲間からわずかに青空が見え、何度か陽光の筋が現れては、スーッと消えた。灰色の中を黒い点々のカラスが飛んで行くが、カァーの一声すら鳴かなかった。さらに耳を澄ませば、セミすら聞こえなかった。
それが何かイサコには、不安を駆り立てるように思え、ヤサコ達との別れを考えるよりも、関心事が大きくなろうとしていた。
それと時を同じくしてヤサコは、焦る気持ちを抑えながら、駅へ続く歩道をちょっと急ぎ足で進んでいた。
来たるべき時が、どんな辛い場面か、感動のシーンか、わかりはしなかったが、それでも行かなければ、会わなければならないと思え、まい進するしかなかった。
しかし、このまま会わずに帰るのを見過ごすのが怖いと思え、何であっても構わないと感じずには、いられなかった。ただ、現実を受けるしかないと。
(……大丈夫、大丈夫……)
そうこうしてる間に、駅前ロータリーに着いてしまった。そこには、通勤通学に向かう様々な老若男女が行き交っていた。話をしていたり、黙って仕事をしていたり、立ち食いの朝食をしていたり、メガネを操作していたり、ほとんどの誰もが忙しなかった。
「……ちょっと、早く来ちゃったかな?え~っと、今は……」
そう言いながら、ヤサコは小さなウィンドウで時刻を見た。
ちょうどその頃、イサコの叔父も運転席から駅ビルを視界に入れ、車の時計を見た。
(今は……八時十五分)
それが、「その時」だった。
○
スムーズにナビゲートしていた叔父の車中で、電脳ナビを表示する画面は、何の前触れもなくブツンっと消え、ハンドル操作が一瞬失いかけた。
「っ!」
この事態への叔父の反応は、無意識からと出た言える動きで、ガシッとハンドルを力いっぱい掴んだ。
「キャア!」
「ワッ!」
キキ―ッと、車はわずかにスピンし、路上で停車してしまった。叔父は急いで車をガードレールに移動し、あらためて停車した。
「二人とも、ケガはないか?」
気を落ち着かせると、すぐに二人に顔を向けたが、二人とも焦り顔ではあったが、横に振り、叔父はホッとできた。
「叔父さん、一体、何が起きたの?」
イサコは急かしながら、首を前に乗り出して来た。
「全くわからん。いきなりナビが止まって、運転が失いかけた」
「?あなた、それってどういう――」
叔母が聞こうとした時、ギギーッという耳をつんざく騒音がとどろいた。すぐ横で車が、道路を、氷上を滑るように通り過ぎていた。
三人が目で追っていると、少し先の丁字路から出てきたトラックの脇に、車体がドーンと衝突してしまった。
ヴィーっとクラクションが鳴り響き、煙が立ち上り、助手席から運転手と思しき男が頭を抱えながら脱出していた。
すぐにトラックの運転手と口論が始まったが、イサコの関心は彼らの上に向けられていた。信号機が真っ黒に消えていた。歩道の信号機も同様になっていた。
ハッと思ったイサコは、メガネをかけると、バッと歩道へ飛び出し、そのまま駅に向け走り出した。
「勇子!どこ行くんだ?」
後ろから叔父が、窓から首を出し、大声で呼んだ。
「叔父さん達は家に戻ってて!駅に行って来る!その後、友達にも会う!心配しないで!」
そう言い残して、駅に向け走り去ってしまった。
イサコの目に入る、駅に向かう間の街の様子は、散々たる有り様だった。街中が停電となっているらしく、店の電気は消え、信号も消えていた。指電話をする人が困惑しており、通じないらしく、公衆電話に立つ人も同じ様子だった。
さらに、交通事故が至る所で起こっているらしく、クラクションやサイレンがどこからも聞こえ、様々な車が何台もどこかにぶつかっていた。
そして、メガネを通して見る街の電脳空間は、そこかしこクラッシュしたようにバグだらけで、霧がモクモク発生し、もはや雲同然だった。
混乱は広がっており、異常事態に驚いて家々から人々が現れ、通行人も右往左往するしかなかった。
そんな中をすり抜け、イサコが駅に着くと、そこが一番ひどく、騒然とした場だった。
バスやタクシーが車線を無視して車道に止まっており、線路を見れば、ホームに入る直前に電車の車両が停止していた。
歩道は駅で出る側と入る側がぶつかり合い、大勢があっちこっちに殺到していた。その惨状は架線下と駅向こうでも同じようで、誰がどこへ行きたいのか、彼ら自身すらわからなくなりそうだった。
まだ、映画のようなパニックは起こって無いようだったが、イサコにはあの中に入る気は無かった。しかし、入らなければならなくなった。
「キャッ、あ、あの~、ちょっ、ちょっと~」
群衆に揉まれて、小躍りするような様のヤサコがいた。一瞬、見ないフリと思ったが、いつ自分の、「イサコ」の名で助けを呼ぶか心配になった。あまり公衆の場でその名で呼ばれたくは無かった。
サッとヤサコのもとへ小走りすると、彼女に有無も言わさず、手を引っぱってロータリーから離れた。
「はぁ、はぁ、ありがとうイサコ。助かったわ」
「何してんだ、お前?野次馬の趣味があったのか?」
「失礼しちゃうわ!あの、その……イサコを送ろうと思って、早めに来たんだけど」
ポッとお互い、恥ずかし気になったが、すぐにイサコが話を戻した。
「それより、この事態は何だ?ここで何が起きたんだ?」
「えっ、うん。たしか、八時…十五分頃、そこのおっきな街頭テレビが急に消えちゃって、そしたらギギーッて、電車がキューブレーキで止まったの。そこら辺のバスやタクシーも止まって」
その証言でイサコは確信できていた。自分が乗っていた車も、ちょうど八時十五分の時、異常が襲った。間違い無く、何か異常事態が広範囲で発生したのはわかった。
そこへ、勢いよく誰かがドンッと、二人の間に割り込んで来た。
「キャッ」
「ああ、すいません!……あれ?君達はいつかの」
と、顔を上げ二人を見たその人は、合併した駅ビル小学校の、二人が迷惑をかけてしまった守衛さんだった。
「どうしたんですか、守衛さん?そんなに慌てて」
「どうもこうもないよ。急に学校の電脳がシステムダウンしちゃって、連絡をしようにも回線が一つしかつながんなくて、大弱りだよ。それで直接応援を呼ぼうと」
それにしては、呑気な様子の口調だった。
「ちょっと待って!」イサコが驚いた顔で、守衛さんに迫った。「今〝回線が一つしか〟って言ったが、どういう事だ?つながっている回線もあるのか?」
「え?ああ、設置式電話だよ。結構な旧式で、電脳化してない回線なんだ。古いけどこんな時に功を奏したよ。ちょっとノイズが混じってるけどね。じゃあ、急いでるんで」
バイバイと手を振って、守衛さんは駆け足で道路の向こうへ去ってしまった。その後ろ姿を見るイサコは、難しい顔をしていた。
「どうかしたの、イサコ?」
「これでわかった。この大停電は電脳空間を中心に起こっているんだ」
冷や汗をかく二人に、
「おんや?小此木さんとこの」
あっと振り向けば、トメさんとそのご主人が、並んで歩いていた。
「おはようございます」
「これはこれは、おはようございます。早苗さんの娘さんは若いのう」
「いえ、孫の優子です」
「……ああ、そうじゃった。いや~朝からメガネの調子が悪くてのう。それで外に出てみたんじゃが、大騒ぎじゃの~」
またしても呑気な様子の口調で、トメさん達はノロノロとどこかへ行ってしまった。
「この街はどこか緊張感が、欠けてはいないか?」
イサコの素直な感想だったが、首を傾げてしまう暇は無かった
「ヤサコ!」
次に現れたのは、焦り顔のタケルだった。
「あっ、タケル君!」
イサコはキッと睨みつけ、わずかにタケルを怖じずかせてしまった。
「タケル君、何が起こってるの?」
「僕にもサッパリだ。駅のこっち側も同じで、市役所や警察局も大混乱だ。しかも、全部が電脳システムの異常なのは間違い無い」
タケルの言う「こっち」とは、ヤサコ達にとっての「駅向こう」である。
「とにかく、一度メガシ屋に行きましょ。そこでみんなと合流しよ」
「この状況では連絡はとれないだろうが、おそらくみんな自動的に集まるだろう」
ヤサコの促しに二人とも頷き、イサコも言い添えると、三人はバッと駆け出した。
つづく
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